| 中古住宅の流通が加速する中、注目を集めているのが、競売物件を利用した物件再生事業。 こうした物件は、市場より値段が低いのはもちろん、再生手段次第で付加価値をつけて貸せる、 もしくは転売できることが可能です。 新たな物件取得法として浸透しつつある、競売の有効活用を中心に、現在の競売物件をめぐる ビジネスを追ってみましょう。是非参考にして下さい。 |
| 市場価格の約4割で物件取得も可能 |
■ 地方都市で申し立て増加 ■
「4月以降、昭和58〜59年築の格安中古マンションが狙い目になるだろう」
一部の競売代行業者の中で、今こんな声がある。
その理由が平成15年度税制改正だ。
物件を購入する際はには様々な税金が課税される。そのうち、建物の保存登記と、売買による移転登記
は大きな負担となっていた。
しかし、昨年の暮れの税制改正において、所有権保存登記費用が0.6%から0.2%に削減された。
また売買による移転登記は5%から1%に下がり、1/5となった。
土地購入に関する税金がわずかな下げ幅に留まったことに比べると、建物の購入にかかる税金は
大幅に下がったといえる。
土地の面積が小さいマンションなどの取得コストに与える影響は大きい。
さらに、ローン返済の終わる物件が市場に出る可能性もある。
現在、首都圏マンションストックは約200万戸といわれている。
しかし、その中で売買が行われる中古マンションの流通量は約2万戸、つまり1%しか流通市場に
乗っていない。
この数字はアメリカをはじめとする欧米諸国に比べ、極端に低い。その理由は物件価格の下落にあった。
分譲マンションは20年〜30年のローンを組んで買う人が多い。
金利を含めた全体価格が膨らむのに対し、売値は下がっていく。購入価格と市場価格の格差が広がり
売りたくても売れない所有者が増えた結果、流通量そのものが減ったのだ。
ただし、今年は昭和58年〜59年頃に建てられた物件のローン返済が終わる時期に当たる。
この頃の物件を売る人が増えるだろうし、競売にかかった物件の中でもこの年代の物件はねらい目に
なると思われる。
また、仙台、大阪などの地方都市はバブルの余波が今まさに到着しており、競売申し立て件数が増えている
という。
3〜4年前は全国6万〜7万件の申し立てのうち、10%が東京だったが、今は東京の占める割合が7%にまで
落ちている。
地方都市で件数が増えた分、地方で高利回り物件が出る可能性もある。
不動産業者は、こうした物件を競落し自社物件化、もしくはオーナーへの販売を行う手もある。
■ 利回りを考えた落札額の設定を ■
ただし注意すべき点は多い。その一つが価格決定だ。
競売物件を入札する際に困難のなのは、入札価格の決定。これをクリアにしなければならない。
管理会社や賃貸物件を所有するオーナーであっても、市場の40〜70%下がるケースもある競売での値付け
は難しい。
いくつかの算出方法の例を挙げてみると・・・
エリアや物件種別等で条件を定め、類似物件の落札価格や落札率(最低売却価格÷落札価格×100)を
明示し、落札予定金額を算出できる。
また、相場事例を検討し、利回りから考えた入札金額の設定も重要だ。
競売では、当然最高額をつけたものが落札者となるが、万が一落札者が残代金を納付納付しなかった場合、
落札額第2位の入札者も現れなかった場合にはチャンスがある。
開示日に地裁に行き、物件を購入したい旨を伝えれば、先着順で落札できる。
■ 3点セットの見極めが重要 ■
通常、「3点セット」と呼ばれる物件に関するこれらの資料は、裁判所から依頼を受けた不動産鑑定士が行う。
大家は夜逃げをしていたり、手元に書類がなかったりするので、あくまで現場で入居者に聞き取り調査をする
ことが主になる。
こうした場合、入居の気配はあっても話が出来ず、状況がつかめない場合がある。こうした場合に「不明」と
書かれることになる。
どんなこわおもての入居者でも、状況さえ分かれば交渉のしようがあるのだが、契約状況がつかめないので
あれば、動きようがない。結局、買い取っても入居者と話が出来るまで、次のアクションを起こせない上、
トラブルも多い。
しかも裁判所は記載されている事項に対し責任は持たない。あくまで、"参考資料"なのである。
したがって、独自の調査が必要になるのだ。
実際に物件を落札した後にもすべきことは残っている。
内部に所有者が残して言った残地物があるケースがある。この場合、買受人は手続きを取る必要がある。
残地物は勝手に処分できないため、執行官に保管費用を予納した上で、明け渡し執行を求めなければ
ならない。こうした手間や費用も予め想定しておく必要がある。
また、滞納債務も買受人が支払う必要がある。
滞納債務とは、管理や修繕積立金の滞納のことで、3点セットの1つである物件明細書に記載されているが
買い受け時にさらに増加していることがある。
■ 中古一戸建てを外国人向け物件化 ■
実際にこうした中古物件の活用をビジネスにしている企業もある。
使用されなくなった戸建住宅を競売で落札したり、オーナーからサブリースし、外国人、若者向けのゲスト
ハウスに改装するのだ。
都内には、流通せず塩づけになっている一戸建て住宅がまだまだある。こうした売りたくはないが活用
も難しい中古物件を活用することで、利回りも7%を超えることもあるのだ。
さて、参入しやすくなった競売ではあるが、ネックになっているのが銀行からの融資の問題。
平成10年に法改正されてから、競売物件にも抵当権が付けられるようになったが、依然融資がおりにくい
状態は続いている。
競売の情報が開示され、落札されるまでの期間は約1ヶ月。銀行の審査が3週間程度かかるため、時間は
少ない。
落札側にしてみれば、融資がおりないことには札は入れられないし、万が一、融資が決まっても落札でき
なければ話は流れてしまう。銀行側にとってもリスクは大きい。こうした点が悪循環を生んでいる。
中には融資に積極的な信用金庫もあるが、もっとスムーズな融資が行われれば、活性化にはつながるだろう。
融資先の確保がネックになり、ニーズはあっても競落できないケースも多い。
今後、規制緩和、税制改正で加速していく可能性の高い競売だが、単に安く取得し、貸すだけでなく、用途
転換などで付加価値を高めることが成功につながるだろう。
| ▼3点セットとは? 競売の資料は3点セットと呼ばれるものからなる。 1つが「物件明細書」。 不動産の基本的な事項が記されている。 2つ目が「現況調査報告書」。 建物の構造、戸数、床面積や土地の形状、入居状況などが書かれている、いわば物件のプロフィール である。物件写真や見取り図などもあり、物件を知るには最も重要な書類。 3つ目が「評価書」と呼ばれるもので、最低売却価格を決める際に不動産鑑定士が算出した評価額の 詳細が記されている。 最も重要な「現状調査報告書」では、入居状況のチェックは必要不可欠だ。 ↑本文へ戻る |