昨年、担保・執行法制度を中心とする民事法の改正があり、その中でも特に不動産業界に大きな影響があると思われるのが「短期賃借保護制度の廃止」です。
昨年7月の法改正により、担保・執行法制度を中心とする民事法の改正があり、短期賃貸借保護制度が廃止されました。この法改正の施工日は今年の4月1日でした。今回の実体法に関する法改正の主な項目ですが、
です。
第一に(1)担保不動産収益執行制度の創設の内容ですが、従来、抵当権の実行方法としては、競売及び物上代位による賃料差し押さえの二つでした。
ところが、競売による売却がなかなか進まないという状況があり、そのため、抵当権者に不動産を売却することなく、債権回収を図る実行方法を新たに設けるべきとの判断より、担保不動産収益執行制度が創設されました。
担保不動産収益執行制度は、当該不動産の管理者を選任し、当該不動産からの賃料収益を抵当権者が受領することを可能にするものです。大規模な賃貸用ビルなどで賃借人の把握が難しい場合や、賃料不払いを理由に従来の賃貸借契約を解除する必要がある場合などに実益があると言われています。
物上代位は賃料を差し押さえることまでしかできなかったため、担保不動産収益執行制度により、不動産収益に貢献しない不健全な賃借人を排除し、担保不動産の収益関係が健全化できることになります。
第二に(2)滌除制度の廃止、抵当権消滅請求制度の創設の内容ですが、従来の滌除制度が、滌除権者に対する競売手続開始前の通知の必要性や増加競売申し立て及び買受義務といった形で抵当権者の過大な負担となっており、そのため担保不動産の権利取得者がこの制度を悪用して抵当権実行手続きを妨害する機会がありました。
そこで改正法は、滌除制度を廃止し、抵当権消滅請求という制度に改めました。抵当権消滅請求をなしうるものは、地上権者、永小作権者も可能であった滌除の場合と異なり、担保不動産の所有権取得者のみに限定されています。
また、担保不動産の所有権取得者が抵当権の消滅請求をなしうるのは競売手続き前に限るとされています。
さらに、抵当権消滅請求を受けた抵当権者に与えられる余裕期間を、滌除の場合の1ヶ月から2ヶ月に延長し、その場合に抵当権者がなすべき手続きは、増加競売ではなく通常競売とし、抵当権者は買受義務を負わず、買受申し出がなく競売手続が取り消されても抵当権は消滅しないことになりました。