トップページ > 旧コンテンツ >

期限に借家人を立ち退かせるには?
取り壊し予定を予め契約書に明記する定期借家契約では書面を取り交わすこと

質問:新しく入る入居者を3年以内で退去させたい

アパートの家主をしていますが、私のアパートは借地上に建てられており、先日地主からの立ち退き裁判で「あと3年でアパートを取り壊し、借地を地主に返す」という和解が成立しました。そうなると、それまでに借家人に立ち退いてもらわないと、私が違約を責められることになります。今の借家人は、それまでに期限が来ますし、裁判の事情も知っていますので、更新を断るつもりですが、その後新たに入居する借家人も、3年後までにはきちんと立ち退いてもらわなければなりません。

このように、決めた期限に借家契約がきちんと終了するようなやり方が、最近認められたそうですが、どのようなものなのでしょうか?

回答

(1)取り壊し予定の建物の賃貸借

借地借家法39条は、「法令又は契約により一定の期間を経過した後に、建物を取り壊すことが明らかな場合」の借家契約では、決めた期限にきちんと借家契約が終了するような取り決めをすることができる旨を規定しています。まさに、今回の質問のような場合に利用できる、平成4年8月1日から施行された新設規定ですので、その契約方法を以下で説明します。

まず、借地借家法39条の借家契約ができる場合は、「法令」や「契約」によって「3年後まで建物を取り壊すことが明らかな場合」に限られます。今回の質問では、地主との間の裁判上の和解契約において、このことが決められたわけですから、まさに法39条に該当します。

次に、「建物も取り壊すことになるとき」に借家契約が終了する旨の特約をすることになります。ですから、3年後を借家契約の期限とすることになります。

そして、この契約は「建物を取り壊すべき事由」を記載した書面でなければならないとされています。もちろん、上の事由に借家契約書上に明記されてもよいわけですから書式Aのような条項のある借家契約書を作成すればよいでしょう。

 

書式A
第○条
本件アパートは、地主●●と家主△△間の○○地方裁判所平成○年第○○号建物撤去土地明け渡し請求事件において、平成○年○月○日、上当事者間で和解が成立し、家主△△は、3年後の平成○年○月○日までに本件アパートを取り壊し、本件土地に地主●●に明け渡し返還するものと約定したので、上同日まで取り壊さなければならない事情にあり、借家人□□も、この事情を承知の上で本借家契約を締結し、期限を上同日の以前である平成○年○月○日と定めたものである。

(2)定期建物賃貸借

前述(1)の場合は、取り壊し予定の建物の借家契約に限られました。
しかし、そのような場合以外でも、期限を定めて、その日に契約が終了するような借家契約の締結は、家主としていろいろいの場合に生じるでしょう。

そのような場合に対処するため、新借地借家法は、その第38条で<定期借家契約>を認めました。したがって、この定期借家契約は(1)のようにその場合が限定されませんから、家主としてはかなり利用価値のある借家契約となるでしょう。

以下、その契約方法を説明しましょう。

  1. まず、家主は借家契約前に書式Bのような書面を借家人に交付して、この定期借家契約の場合は、期限の更新のない旨を説明しなければなりません。(同法38条2項)
  2. 書面による借家契約
    借家契約は、普通、書面などによらず口約束でも成立します。しかし、定期借家契約では、必ず書面で契約されなければなりません。(同法38条1項)
  3. 期間満了前の通告
    定期借家契約では、期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に、書式Cのような通知を借家人にしておかないと、期間の終了を借家人に主張できなくなります。(同法38条4項)
書式B
説 明 書
借主 △△△ 殿
私が貴殿に賃貸しようとしている○○アパート△号室の借家契約は、定期借家契約ですので、決められた期限に本契約は終了し、期限の更新は認められませんから、この旨予めご承知下さい。
平成○年○月○日
貸主 □□□
書式C
通 知 書
借主 △△△ 殿
私が貴殿に賃貸中の○○アパート○号室の借家契約の期限は、来る平成○年○月○日までです。
よって、上同日をもって終了しますので、あらかじめ通知におよびます。
平成○年○月○日
貸主 □□□

(3)一時使用目的の借家契約

例えば、「選挙期間中の20日間だけ、選挙事務所として使わせてくれ」等のように、一時使用の目的が客観的に明らかな借家契約の場合は、借地借家法は適用されません。(同法40条)

したがって、借地借家法上の更新なども認められず、決めた期限に契約は終了します。「それならば・・・」と契約書にただやみくもに「第○条 本件賃貸借契約は一時使用の目的でなされるものである」などと記載しても、一時使用目的の借家契約とはなりません。

前述どおり、客観的に一時使用目的が存在し、そのための賃貸借でなければなりません。

したがって、契約書中でも、書式Dのような明記をしておいたほうがよいでしょう。

書式D
第○条(一時使用の目的)
本契約は、借家人が、当地で行われる○○競技会の出場選手としてこれに参加するため、競技会の出場選手としてこれに参加するため、競技会の前後を含め、合計3ヶ月間だけ当地にとどまるための 必要から、その宿舎として居住するためのものである。
したがって、上記期間を終えれば、借家人は直ちに本件借室から立ち退くことを確約する。

「お役立ちコラム」のトップへ戻る

 


Copyright (C)2002-2006 Seitoku Jyuhan Co.Ltd. All Right Reserved.