航空基地周辺のマンションを購入しましたが、航空機が航空基地に帰還する経路の真下に位置するため、入居後、航空機の騒音に悩まされています。騒音の説明があれば購入はしなかったのですが…
(Wさん 男性 40歳 会社員)
Wさんら(3名)は、平成9年、売主業者Yからそれぞれマンション(全24戸)の一室を購入しました。
このマンションは、防衛施設である航空基地周辺(基地から7キロ)にあり、昭和59年、「防衛施設周辺の生活の環境整備等に関する法律」第4条の第1種区域(住宅防音工事助成対象区域)に指定されていましたが、業者Yは本物件の地区ではかなりの飛行高度がとられており、生活上の問題は少ないと考え、その説明をしませんでした。
Wさんらは入居後、子供が音を怖がるなど、航空気温に悩まされることになり、管理組合にも業者Yの説明不足を指摘し対策会議の開催を求めましたが、業者Yは応じませんでした。その後、Wさんらは航空機騒音問題等10項目に及び「解決依頼書」を業者Yに送付し、Yが分譲した他地域(基地から4キロ)のマンションでは告知しているのに、当マンションでは告知しないのはおかしい。
Yは事実と反する説明をし、Wさんらの生活環境を脅かした、として謝罪と防音工事、見舞い金等に応じるよう求めました。しかし業者Yからはその要求には応じられないとの回答がありました。
そこでWさんらは業者Yに対して「Yが第一種区域の告知をせず、閑静な住宅街と説明して販売したことは、宅建業法35条に違反して、告知を受けていれば購入しなかった」として謝罪と損害賠償を求めて内容証明郵便で通知しました。
第一種区域は、重要事項説明には該当しないと考え、説明はしませんでした。本物件は基地から離れており、飛行高度もとっているので、生活を脅かすほどの騒音はありません。また、騒音レベルも昭和48年12月27日環境庁告示第154号「航空機騒音に係る環境基準について」に基づく基準値を越えていません。
本件マンションは、防衛施設周辺の生活の環境整備等に関する法律により、騒音が特に著しい地域であると指定された区域内にあり、この法律が宅建業法35条1項2号(施工令3条)に掲げられた法令に含まれないとしても、買主が購入意思を決定するに際して重要な事項であることから、説明が必要であったと思われます。
業者Yは、防音対策として、管理組合の許可を得た上、Wさんらを含むマンション希望者全員について換気口に防音フードを設置すること、及びWさんらの各住戸にエアコン1台を無償で設置することを提案しWさんらもこれに同意して本件は和解しました。
宅地建物取引業者が説明すべき宅建業法35条1項2号の法令に基づく制限については、同法施工令3条に列記されています。同条5号の2には、特定空港周辺航空騒音対策特別措置法(航空機騒音障害防止地区及び航空機騒音障害防止特別地域内における建築物に対する一定の制限が定められています)の規定がありますが、今回問題となった防衛施設周辺の生活の環境整備等に関する法律については同施工令に規定はありません。
しかし、業者は「業者35条の規定に基づく重要事項の説明についてはこれを的確に行うと共に、同上に規定されていない事項であっても具体的な取引において購入者等に不測の損害を与えるおそれのある事項であって、取引時に明らかになっているものについては、併せて説明するように努めること(国土交通省通達)」とされています。
本件の場合は、施工令3条列記以外であっても、購入者等に不測の損害を与えるおそれがあり、調査説明をする必要があるといえます。