個の物の上には、一個の所有権しか成立しないのが原則です。これを民法上、一物一権主義と言います。
所有権は物件です。物件とは、他人を排除してその物を利用し、その物から生じる経済的利益を独占的に享受する権利です。(このことを法律上、「排他性」と表現します)マンションを所有している人だけが、当該マンションに自分で住み、あるいは他人に賃貸して、賃貸収入を得ることができるのです。
このように、所有権は他人を排除する強力な権利です。従って、他の誰の所有物でもなく「その人だけの所有物」であることを対外的に公示し、動産の場合には原則として占有により公示されますが、公示するためには、他のものから明確に区別して特定できること、すなわち、通常は一個のものであることが必要です。
ここから、一個の物件の対象は、一個の物でなくてはならないという一物一権主義の原則が帰結されるのです。ですから、一棟の建物の和室部分、リビング部分といった一個の建物の一部分のみが所有権の目的となることはありませんし、通常は一棟の建物の一部分に所有権を認める実際上の必要も存在しないのです。
ところが、マンションについては、一棟の建物の各住戸部分ごとに独立の所有権を認める実際上の必要があります。そこで、問題となるのが、前述の一物一権主義の原則の関係です。マンションの一室を所有するということは、一棟の建物の一部分(一室)に所有権が成立することを意味し、一物一権主義の原則の例外を認めることになりますが、前述のごとく、一物一権主義の根拠は権利であり当該権利を対外的に公示する必要があるという点にあります。
そこで、一棟の建物の一部に所有権(「区分所有権」といいます)を認める要件として
(1)の要件を「構造上の独立性」、(2)の要件を「利用上の独立性」といいます。
この二つの要件をクリアーしたものについては、一等の建物の一部分とはいえ、他の部分と明確に区別して特定できるので、登記による公示も可能です。ですから、一物一権主義の原則の例外として、物の一部につき所有権の成立が許容されるのです。