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立退き料の算定方法

立退き料はいくら位が妥当なものかと言うことについては、借家契約の内容、用途、立地条件によりケースバイケースであるが、ここでは一般的な算定方法の例を示したい。

損失補償基準は、合計4種類ある
1.公共事業(街路買収事業等)での立退き料の取扱い

公共事業に立退き料という言葉はないが、公共事業を実施する上で建物所有者が借家人に対し、または地権者が営業者、住宅居住者に立ち退きを要請する場合は、「公共用地の取得に伴う損失補償基準」(以下「損失補償基準という」に基づき立退き料を算定することがある。)

(1)「公共用地の取得に伴う損失補償基準(用対連基準)」

  1. 損失補償基準第18条(建物等に関する所有権以外の権利の消滅に係る補償)の補償
    建物等に関する所有権以外の権利に対する補償として、対価補償としての借家権があげられる。
    ここでは、建物等の取得の場合と同様にその権利の正常な取引価格をもって補償することとなっている。
    (実質的な借家権は、一般に市場で取引の対象とはなっていないので補償されることは極めて少ない。)
  2. 損失補償基準第34条(借家人に対する補償)
    1. 借家人が新たに当該建物に照応する他の建物を賃貸する為に通常要する費用を補償する ・・・ 権利金等一時金に対する補償。
    2. 前項において新たに賃貸する建物について通常支払われる賃借料相当額に比し、著しく低額であると認められるときは、賃借の事情を総合的に考慮して、適正に算定した額を補償する・・・差額家賃に対する補償
    3. その他に補償項目としては損失補償基準第16条(建物その他の工作物に係る補償)、第31条(動産移転料)、第37条(移転雑費)、第44条(営業休止等の補償)があり、これらを含めて立ち退き補償としている。

上記にみたように、損失補償基準では権利対価保証、移転保証、収益補償、経費保証と分かれている借家人補償を取り扱うこととなっている。

利益放棄の対価として支払う
2.不動産鑑定評価上からの取扱い

不動産鑑定評価基準にも、立退き料という言葉はなく、建物の利用権により発生するであろう経済的利益を中断され、その利益を放棄することに対する対価として借家権価格として表現される。これが損失補償でいう借家人補償に相当する。

不動産鑑定評価基準では「借家権価格とは借家権の付着している建物について、借家人に帰属する経済的利益が発生している場合において慣行的に取引の対象となっている当該経済的利益の全部または一部をいう。借家人に帰属する経済的利益とは「建物、(及びその敷地)の経済価値に即応した適正な賃料と実際支払い賃料との乖離及びその乖離の持続する期間を基礎にして成り立つものをいう」とし、さらに「一般に借家権価格といわれているものには立退き料、営業権等その構成要素として含んでいる場合があることを留意しなければならない」とされている。

つまり不動産鑑定評価基準での借家権の価格とは借家権者が、賃借している建物の経済賃料(新規で適正な賃料)に較べて、定額の賃料を支払って継続的に利用している場合に、この経済価値に基づく適正賃料との差額=借家人の借り得分=を基礎にして成り立つものをいうのである。

通常は借家権価格は借地権価額とは異なり、具体的な交換価値を有するほど熟成していないのが一般的である。賃借人の都合で立ち退きを要求する際は賃借人に対し何らかの対価を支払うことで、立ち退きに応じてもらうときに初めて具体的になる。

不動産鑑定評価基準で借家権価格を求めるにあたっては、

  1. 契約締結の経緯及び、契約後の経過期間の長短。
  2. 借家権建物の残存耐用年数・・・借家権は建物の消滅により消滅することになっている。
  3. 当事者との関係・・・恩恵的関係または関係会社等の事情がないのか。


等の事項を総合的に考慮することにしている。

従って、不動産鑑定評価と公共事業の損失補償基準での借家人補償以外の補償項目は別途考えられる。

借地権割合を考慮する方法も
3.相続税評価基準による借家権割合

貸家付土地について相続が発生した場合、土地、建物の相続税額を算定するために借地権価格、更地価格から控除する際に借家権価格というものがある。これはいわゆる立退き料とは異なるが、立退き料の算定の一つの目安として考えても良いだろう。

これは、更地価格に借地権割合を乗じたものに借家権割合として30%を乗じて算出する。
建物についても建物価額に借家権割合として30%を乗じたものとしている。

円満な解決を目指すこと
4.その他

上記のような算定を基本に家主側と借家人とが協議をし、家主側の事情及び借家人側の事情を相互に理解した上で、円満な解決を目指して話し合いを行うことにする。

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