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賃貸借契約と破産(2)
借地と借家の正当事由 財産的価値で要否異なる

(1)では、賃借人が破産した場合には、賃貸人または破産管財人は、賃借人に対し、民法621条に基づき解約の申し入れを出来ることをお話しました。

ところで、賃貸借契約といっても、車両や事務機器をはじめとして様々なものを目的とする賃貸借契約がありますが、本件のように建物を目的とする賃貸借契約を破産を理由として解約する場合、借地借家法上のいわゆる「正当事由」(客観的に賃貸借契約を解消するのもやむをえないと判断できるだけの事情)というものが必要とされるでしょうか。

この点に関する判例は非常に興味深いものがあります。

借地借家法上、借地契約を解消する場合も共に「正当事由」が必要とされています。ところが、判例は一方で、借地契約につき破産を理由とする場合には、「正当事由」を必要とし、(最高裁昭和48年5月19日・東京高裁昭和63年2月10日)、借地については、単に破産をしたというだけでなく、現実に賃料の支払いを怠る等の債務不履行に基づく当事者間における信頼関係の破壊がなくてはならないとする反面、借家については破産をしたというだけで解約の申し入れをすることができると言うのです。

このように、借地と借家とで破産を原因とする解約申し入れにつき、「正当事由」の要否が異なる実質的理由の核心は、一般的に見て、借地権と借家権の財産的価値等に大きな差がある点にあるものと推測できます。破産の場合における最大のポイントは、いかに破産者の数少ない財産をかき集め、破産者の債権者にできるだけ多くの配当を実現できるかと言うことです。

裁判所は、借地権は借家権と比較し、借地権いついては財産的価値が高く、また売買成立可能性が高いという意味で換価性もあることから、容易に賃貸人からの解約による消滅を認めないで、破産者の財産として確保させた上で、破産管財人より借地権を売却するなどして換価をさせ、債権者に対する少しでも多くの配当を実現させようとする政策的配慮があると思われます。

いったん貸した以上なかなか戻ってこないはずの貸地が、賃借人が地代の滞納するしていなかったのにも関わらずたまたま破産したという一事でもって賃借人の手元に戻るというのは、不合理であるとも考えられているようです。

これに対して、借家権については、一部の例外はあるものの、一般的には借地権ほど財産的価値が高いとはいえず、また換価性(売買成約可能性)も高いとはいえません。

よって、借地の場合と比較して、容易な要件で解約が認められているものと思われます。 

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