「Vol.1 競売の仕組みと活用のメリット」でも述べたように、競売は仕組みや手続きそのものは非常に簡単である。
しかし、「競売は怖い」「素人が安易に手を出すべきではない」という声も少なくない。
実際に、競売にはさまざまはリスクが存在する。この点をしっかりと把握しておかないと後々大きな出費を強いられることにもなる。今回は競売のリスクについて整理してみよう。
競売を行う上で気をつけねばならない点は、「物件は現状引渡しである」ということだ。
一般的な手法で取得した物件の場合、販売業者側が品質保証を行ったりして、購入後何らかの損傷や欠損が認められた場合には無料修繕などの対応をしてくれることが多い。
しかし、競売の場合、買い受けた後に物件がどのような損傷や欠陥があったとしても、すべて買受人側の責任において処理をしなければならないのである。
競売は不良債権者の財産を強制的に売却する制度である。したがって、経済的に困窮していたオーナーが所有していた不動産が市場に出てくることが多い。一般的なオーナーであれば当然行っていた管理、メンテナンス、修繕についても経済的な理由で行ってこなかたケースが考えられれる。
それだけに入札希望者は、自分が狙いを定めた物件については必ず現地調査を行い、物件の傷み具合などについてチェックするべきである。もちろんこの時点では、まだ物件の所有権は旧所有者(債務者)にあるので、勝手に中に立ち入ることは不可能だが、外観を見ておくだけでも十分である。また現地調査は占有(詳しくは後述)の有無を知る上でも絶対に必要なものとなる。
競売物件に関するリスクの2点目は「留置権」の存在だ。
不動産市況が厳しさを増す中で、築2〜3年程度の物件が開示されるケースも増えてきているという。
「新しい物件だから品質もいいだろうし安心だ」と考えてはいけない。
建築工事費を分割払いにしている場合、建築後数年では、まだオーナーは建設会社に全額支払を終えているとは考えにくい。もし、その状態で物件が競売になってしまった場合、建設会社は建設工事費の回収が不可能になってしまう。
そこで建設会社は、その物件に対して「留置権」を設定する。これにより建設工事費の残金を新たな所有者(つまり買受人)から回収することが可能になるのである。
つまり、もし落札した物件に留置権が設定されていた場合には、買受後に数億円単位での費用負担が生じることも考えられる。裁判所側で留置権の存在が確認できる、または考えられる物件については開示の段階でその旨が記されるが、裁判所もすべてを把握しているわけではないだけに注意が必要といえる。
競売物件のリスクの3点目は占有である。
これは落札した物件に、居住権を主張する人が住んでいることを指す。その退去をめぐってトラブルになることが多い。
例えば、開示情報では現在借りてのいないとされている借家を落札し、その後物件を見に行ったところ、まったく知らない人が住んでいた、というケースがある。
彼らは「ずっと以前から住んでいた」などと主張し、落札者に対しては「もし出ていかなければならないのなら、立退き料を支払って欲しい」と求めてくるのである。
このように、本来その物件に入居・使用をしているはずのない人が立退き料を求めてくるのが占有だ。
その人物が、物件の正当な入札者・使用者なのかは旧所有者に確認すれば判明することであるが、物権が落札された後は旧所有者は行方知れずになっていることが多く、また所在が分かっていても、旧所有者は買受人を「自分の家(財産)を奪った人」として敵視する傾向にあるために、協力してくれないことも少なくない。また、ひどい場合には、旧所有者が立退き料の分け前欲しさに占有に一枚かんでいるケースもあり、入居者の正当性の確認が出来ないことが多い。
この占有については、ほとんどの場合、暴力団(またはその関係者)が絡んでいる。
彼らが立退き料を目当てに、本来その物件とは全く無関係な外国人やホームレスを住まわせて入居権を主張させているのである。したがって対処方法を誤ると、かなり大きなトラブルに発展することにもなりかねない。最近では新暴対法施行の影響もあり、それほど解決に手こずる占有は少なくなったというが、それでも相応の立退き料の支払いについては覚悟をしなければならないという。
この占有についても、裁判所側でわかる範囲で「占有の可能性あり」などと物件ファイルに記載されてはいる。しかし、やはり自分で実際に物件を見に行って、確認したほうが確実と言えるだろう。
競売物件に関するリスクを避けるには、実際に現地に行き自らの目で物件の状況をよくチェックすることが不可欠といえる。
しかし一般的な不動産売買と異なり、販売業者が同行していろいろと案内をしてくれるわけではない。自分でしっかりとチェックポイントを定めて調査する必要がある。そこで、Vol.3では、現地での物件チェックのノウハウについて見てみることにしよう。