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Vol.1 競売の仕組みと活用のメリット

市場価格の3割程度で物件取得が可能

不動産競売(以下競売)が人気を博している。
これまではごく限られた人たち以外には参加することが難しい、と言われていたが最近では、一般の人も多く参入をし、新たな不動産取得方法となりつつある。
競売とは何か」「どのような手順で行うのか」などといった点を解説していく。

こげついた融資を裁判所経由で回収

競売とは、債権者が債務者の財産を裁判所を通じて売却すること。
例えば、あるオーナーが銀行からの融資で賃貸マンションを建てたものの、空室が増加して収入が落ち込み、返済に滞りが出るような場合、債権者である銀行は、融資回収のために裁判所に競売申し立てを行うことになる。
するとマンションは裁判所を通じて一般に売却される。
この競売の制度そのものは以前より存在していた。
しかし一般の人に知られているほどにまでなり、参加者(入札者)が増えるようになったのは、ここ6〜7年ほどのことである。
競売の最大の特徴は、安値で不動産を取得できる、という点。
銀行などの金融機関が不良債権を処理するために担保にしていた物件を売却するのは珍しい話ではないが、一般的な形での売却(「任意」という)の場合は、売り手側の希望が多少なりとも価格に反映されることになる。
それに対し、競売の場合は、価格については裁判所が定めた最低売却価格が元になるため、売り手側の希望や事情は全く反映されることがない。
その結果として、市場価格の3割引などという安値で不動産を取得することも可能になるのだ。

開示物件の情報はネットでも閲覧可能

さて、このような競売であるが、実際にどのような手順で行われるのであろうか。
これを参加者の立場から見てみることにしよう。

手順

  1. まず裁判所(各地方裁判所およびその支所)で、競売にかけられることになった物件(開示物件)の情報を入手することから始まる。
  2. 裁判所には「閲覧室」という開示物件ファイルを見ることができるスペースがある。
  3. 個々の物件について、所在地などのデータおよび裁判所が定めた最低売却価格が記載されており、参加希望者はこれらの情報をもとに自らが物件を絞り込んでいくことになる。

なお、開示物件の情報については、裁判所が各新聞に広告を掲載したり、インターネット上に開示したりしていることもある。また、開示物件を掲載した情報誌なども発刊されている。
※当社が公開している「東京地裁・入札お薦め物件」も是非ご覧下さい。
※さらに詳細を知りたいは、0120-60-3000にて承っております。
これらのツールが整備されたことで、これまで平日昼間に裁判所に物件ファイルを見に行くことが難しかったサラリーマンが気軽に物件情報を得ることができるようになったことが、競売人気が高まっている原因の一つとなっている。

入札額の2割を供託金として支払い

競売開示物件には「入札期限」というものが定められている。
つまりその物件を取得しようとするものは、その期限内に裁判所に出向き、最低売却価格以上の額を記載して入札を行わなければいけない。そして、入札額の2割を供託金として提出しなければならない。
尚、入札額が最低売却価格に満たない場合は、その入札は無効になる。
また、この場合注意しなければならない点は、入札は1物件につき1度しか行えない、ということだ。
一般的なオークションでは同一人が何度も入札できるだけでなく、どのような人物が何人入札に参加しているかをある程度は知ることができるので、他者の出方をうかがうなどして戦略的に入札をすることが可能であるが、競売の場合は一発勝負である、というのが大きな違いだ。
自分が入札に参加した物件にどのくらいの入札件数があったのか、またどのくらいの額で他人が入札したのか、という点は一切知ることができないようになっている。
また、開示物件について、入札期限内に1本も入札が無かった場合は、その物件は開示を取り下げられ、後日裁判所で最低売却金額を設定しなおし、再開示されることになる。
開示物件に 1本でも有効入札があれば、あらかじめ定められていた日時に開札が行われる。これは文字どおり入札結果を発表し、落札者を決定するものである。
入札者が何人であろうとも、そして入札金額がいくらであろうとも、有効入札者の中で最も高い額を提示したものが落札者(買受人)となる。
この際、落札できなかったものは、入札時に支払った供託金は返却される。
買受人は落札が決定してから、一定期限以内(裁判所によって異なるが、だいたい25日前後)に、入札金額の残金を裁判所に支払い、これが終了した時点で物件が引き渡され、正式に買受人に所有権が移ることになる。
なお、買受人が辞退した場合や、期限内に入札金額の支払いがなされなかった場合には、買受人はその資格を失い、有効入札者の中で2番目に高い価格で入札したものが新たな買受人となる。
また、買受人がその資格を失効した場合、入札時に支払った供託金は返却されずに没収されることになる。

リスクへッジを十分に行う必要あり

以上が競売の主な流れである。
ポイントとなるのは、(1)物件の選択、(2)入札価格の設定の2点である。
なるべく入札者の少ないと思われる物件を選べば最低売却価格に近い額(場合によっては同額)で物件を取得することが可能であり、競売の最大の魅力である「安く物件が買える」という点を十分に生かすことが出来る。
また、全体の流れを見てもわかるように、開示から買受に至るまで特に難しい手続きを必要とするものはない。
定められた書類今違いなく記入しさえすれば誰でも入札に参加することが出来る。
実際に自宅用のワンルームマンションを取得したいOL、財テクのために投資用マンションを取得したい中高年サラリーマンなど、ごくごく一般の人が気軽に入札に参加していることからもそれがうかがえる。
しかし、表面上の手続きは簡単でも、自分が狙いを定めた物件を狙い通りの金額で取得するのには、経験やテクニックを要する。
また、金融機関の不良債権を裁判所を通じて強制的に売却する競売は、単なる事務処理のひとつといえる。
したがって顧客サービスを考える民間企業が物件を売却するのとは異なり、「購入者保護」の考えがはたらかない、という面は否定できない。そうした性格がもとになるトラブルも競売市場では少なくない。
次回以降は、競売に関するリスクや入札参加時への注意点について見てみることにする。

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